寄生虫や微生物による食中毒を引き起こすと、お客様からの信頼を失ってしまうおそれがあります。飲食店や食品製造業における「安心・安全」は無くてはならない要素であり、一度失った信頼は取り戻すまでに時間がかかります。ここでは冷凍食品の解凍にあたり、寄生虫や微生物の増殖を抑えるにはどういった解凍方法があるかを紹介していきます。
食中毒を引き起こすような寄生虫や微生物は、活動できる温度が決まっています。一定時間・一定の温度で冷凍すると死滅することが多いですが、冷凍するだけでは死滅しないような微生物・寄生虫も存在します。寄生虫や微生物と冷凍保存がどういった関係にあるのかについて、詳しく学んでおきましょう。
さばやあじ、さんまなどの魚介類に寄生する「アニサキス」は冷凍保存によって死滅します。アニサキスの幼虫が寄生しているような生鮮魚介類については、冷凍や加熱が不十分なまま食べてしまうと食中毒を引き起こします。アニサキスが原因の食中毒を防ぐためには、「マイナス20℃以下」「24時間」という条件下で冷凍することが推奨されています。また、豚肉などに寄生する「トリヒナ(旋毛虫)」は、冷凍に対する耐性が高い寄生虫ですので、冷凍保存するだけでは死滅させることができません。トリヒナを死滅させるためには、「75℃」「1分以上」という条件で、中心まで充分な加熱が必要です。
多くの微生物は冷凍することにより増殖を抑えることができますが、完全に死滅するわけではありませんので注意しましょう。中でも大腸菌やサルモネラ菌などといった病原性微生物は冷凍しても死滅しません。生存した微生物は食品が解凍されることにより再び活動を始めるとともに増殖するおそれがあります。そしてノロウイルスなどといったウイルスも冷凍への耐性を持っていることが多いです。冷凍しても感染力が衰えることなく生存するため、調理や取り扱いの際には手を洗うなどといったしかるべき衛生管理をきちんと行うようにしましょう。
冷凍保存をすることにより細菌の繁殖を抑えることはできますが、必ずしも完全に死滅させられるかというとそうとは限りません。冷凍保存を行うと微生物に損傷が起こり、少しずつ死滅することはありますが、その数は少ないため完全に死滅したとは言えません。一部の細菌は冷凍環境においても生存し続けることが可能であり、死滅する割合は冷凍温度や冷凍速度、保存期間によって変わります。多くの細菌は冷凍環境で休眠状態になりますが、解凍することで再び活動を始めることがあります。
流水解凍は密閉した袋に食品を入れ、水を張った容器に水道水を流し入れながら解凍する方法です。流水のスピードを速くすると短時間で解凍することができます。冷蔵庫解凍よりもスピーディーに解凍できるので、適切に行えば微生物の繁殖を抑制できます。しかし手間がかかる点・風味が落ちてしまう可能性がある点などがデメリットに挙げられます。
食材を凍ったまま煮たり焼いたりすることで直接的に解凍することもできます。酸素反応が起こりやすい温度になる時間が短くなりますので、加熱することで酸素反応を抑制できます。つまり食材の変化を起こさず質のいい解凍ができるということです。加熱調理に適している食材は電子レンジや加熱調理による解凍に向いています。ただし大きな食材の場合は中心部に熱が届きづらいため加熱時間に注意が必要です。
解凍専用の機器である解凍機を用いると、適切な温度管理をしながらスピーディーに解凍できます。大きな食品でもきちんと解凍することができ、温度と湿度を細かくコントロールすることにより均一な解凍をおこなうことができます。導入・運用にコストがかかりますが、冷凍食材の鮮度をきちんと管理するために効果的です。
寄生虫や細菌によって引き起こす食中毒は重大な健康被害を引き起こします。食中毒が出ると顧客の信頼を一気に失ってしまいますので、そうならないためには食材の温度管理や衛生管理をきちんと行い食材の鮮度を保つ必要があります。このページで紹介した知識も参考にして頂き、適切な解凍方法・食材の管理方法に努めていきましょう。
サイト内で紹介している解凍機の特徴についてまとめました。食材やニーズに合わせて適した解凍方法を選びましょう。