歩留まりは出荷量や利益に直結する、食品業界にとって欠かせない指標です。
工程の見直しや解凍方法の工夫で、歩留まりを改善することができます。ここでは、歩留まりの改善方法についてご紹介します。
歩留まり(ぶどまり)とは、食品・工業製品など生産全般において原料の投入量から期待できる生産量に対し、実際の製品量の比率を指します。食品では、可食部の割合とも言われています。
不良品や廃棄が多くなれば、可食部が減るので歩留まりは低下します。
ここでは、歩留まりの計算方法、改善方法について、牛肉を例に、精肉として出荷されるまでの工程、歩留まりの計算方法、歩留まりの改善方法の順に説明していきます。
飼育された牛を出荷する場合、家畜市場を通して、食肉センター・と畜場へ運搬されます。そこで、牛の皮・骨・内臓を取り除いていきます。背骨から2分割した骨付きの状態の部分を枝肉といい、そこから余分な脂肪・骨を除去したものを部分肉と呼びます。
枝肉の重量は400~600㎏ほどあり、大きさは2メートル以上となります。一方、部分肉の場合、枝肉を決められた方法にて分割し、ヒレ・サーロイン・肩ロースなど部位ごとにわけられていきます。部分肉はさらに加工されてから、小売店で精肉として販売されます。
牛肉には、A5等級・A4ランクといった表記があります。牛肉には格付けがあり、日本食肉格付協会によって基準が決められているのが特徴です。これは、食肉卸売市場・食肉センターにおいて、枝肉の公正な取引を推奨するためのもので、全国統一となっています。
牛肉の格付けは、歩留等級と肉質等級の2種類の組み合わせにより決まり、全部で15種類になるとされています。格付けの等級が高ければ高いほど、牛肉の金額も上がります。
先述した通り、流通は部分肉が主流となっています。その理由の1つとして、輸送コストの低減があげられます。部分肉は、骨・余分な脂肪などが除去されているので、輸送コストは枝肉と比較して、3割~4割ほど削減されます。
部分肉は、真空包装されているケースが多く、鮮度を保つ面から考慮しても優れています。また、部位別の取引の増加や作業コスト、生産性の向上などの点から考えると、今後も部分肉での流通が主流でしょう。
流通コストの観点からは、産地で部分肉から精肉へ加工する方が有利ですが、精肉に加工すると、肉の可食期間が短くなるデメリットもあります。
ここでは、サーロインのかたまり肉をステーキ用にカットする場合を例に説明します。牛1頭分のサーロインのかたまり肉が10kgあると仮定します。これをステーキ用にしたところ、1枚200gの肉が40枚できました。
食品の歩留まりは、可食部÷全体重量で計算します。
上記のサーロインのかたまり肉を式に当てはめてみると、可食部は、200g×40=8000g(8kg)、8(kg)÷10(kg)=0.8と算出できます。
ここでは、歩留まりを改善するための方法について、2つ紹介します。
肉は時間がたつにつれて変色するので、加工時には、変色した部位を切り落とすほか、余分な脂肪を除去して成形するトリミングを行います。肉の変色を防げると、トリミングの量が減少し、加工時の歩留まりを改善していけます。
肉は低温で保管すると状態をよく保つことができ、肉の温度が上がると劣化するので、0~2℃が望ましいです。また、真空包装にして保管すると、肉の乾燥や酸化を防ぎやすくなります。
加工者によって、部分肉から取れる精肉の量は変わってくるので、歩留まりを改善させていくためには、熟練した加工者が作業することが重要です。
肉の解凍は、冷蔵庫解凍や氷水解凍を用いるのが一般的ですが、解凍機で実施する場合もあります。肉を解凍する場合、適切な方法で行わないとドリップが出てしまい、歩留まりの低下につながります。
解凍時、食品の内部と外部に温度差が見られる場合、部分的に溶け出てしまうリスクもあります。溶けた水分は、細胞膜を傷つけながら破ってしまい、ドリップとなり流出します。食品の歩留まり改善をさせるためには、ドリップの流出を防ぐことが重要です。
ドリップの流出を防止するためには、解凍時の食品内部と外部の温度差をなるべく少なくすることが重要です。また、加工に使用するケースでは、完全解凍を行う前の半解凍の状態で加工すると、歩留まりの改善につながります。
歩留まりを改善させていくためには、熟練した加工者が作業にあたったり、解凍方法を工夫したりする必要があります。当サイトでは、解凍の基礎知識や業務用解凍機、冷凍食品を扱う企業が抱える悩み・課題などについてご紹介しています。解凍の知識について知りたい方はもちろん、解凍機の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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