冷凍された生鮮食品の解凍にはいくつかの方法があります。そのなかでも、手軽でポピュラーにおこなわれているのが「温塩水解凍」でしょう。塩水のぬるま湯に浸すというシンプルな方法は、スーパーでの鮮魚部門や水産卸、寿司店など広く活用されています。
温塩水解凍は、非常にシンプルな解凍方法です。30度から40度程度のぬるま湯を用意して、そこに海水と同程度になるよう3%から5%の塩分を加えるだけです。そのぬるま湯に冷凍品を浸しておけば良いのです。時間は量によって変化しますので、触感などで判断します。
温塩水解凍機のメリットは、大きく2つあります。一つはマグロなど赤身魚の場合、変色する-3℃〜-7℃温度帯をすぐに超えることで見た目が良くなることです。また、塩水であることで浸透圧が働き、ドリップを抑制し、食味も良くなります。
温塩水解凍の課題としては、準備段階にあります。適温のお湯を作り、お湯の量から塩の量を計算するという手間がかかってしまいます。多くの場合、客足に合わせたフレキシブルなオペレーションは難しいと言えるでしょう。
上記のように適温のお湯や塩分濃度などは、ある程度の勘や経験が必要で、必然的に管理者や職人がおこなうことになります。そうなれば、必ず朝の仕込みに経験を積んだ人材が必要で人員配置やシフトにも影響が出ます。解決策としては、誰でも均一な解凍が可能になる真空マイクロ波解凍機を導入する企業もあるようです。
この論文では、解凍法によるマグロの品質の違いを明らかにするため、マイクロ波解凍、冷蔵緩慢解凍、温塩水解凍の3種類の解凍方法を比較しています。対象は冷凍メバチマグロで、55×25×160mmの柵を使用。格付けはAランクとCランクをそれぞれ使用しています。色味や食味など、さまざまな検査がおこなわれましたが、総合的にはマイクロ波解凍による休息解凍が若干リードをしました。しかし、一方では食味試験においては温塩水解凍のマグロが一番美味しいとの評価を得ています。
引用元:日本調理科学会誌Vol.39,No.1,16~21(2006)〔 報 文 〕
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1995/39/1/39_16/_pdf)
温塩水解凍は、お湯と塩を使用したシンプルな方法であるために、低コストでできる解凍方法です。しかし、一定の経験を要する部分もあります。職場環境によっては、均一な品質を常に維持できる真空マイクロ波解凍機などを導入するという選択肢もあるでしょう。
「ピークタイムに急な解凍作業が追いつかず、調理スタッフが現場で混乱してしまう」「解凍ムラによって食材の品質が低下し、クレームにつながる」といった問題は、多くの法人企業様が直面している課題ではないでしょうか。これらを解決し、作業効率を飛躍的に向上させながら、食材の鮮度・食感をしっかり維持して短時間で解凍できるのが最新の業務用解凍機です。導入によりオペレーションの円滑化や顧客満足度の向上はもちろん、スタッフの負担軽減など、多方面にわたるメリットが期待できます。
引用元:フジ技研工業公式HP
https://www.fujigiken.net/thawing
特徴
解凍方法
低温高湿解凍
冷たい湿気で鮮度と食感を保持
引用元:プロトンエンジニアリング公式HP
https://proton-eng.co.jp/
特徴
解凍方法
プロトン解凍
磁場と電場で細胞を守り品質維持
引用元:明治機械公式HP
https://www.meiji-kikai.co.jp/microwave/
特徴
解凍方法
マイクロ波解凍
マイクロ波で素早く均一に解凍